2026-07-20

小説『終わりなき神話』と『アブソリュート・グリーン・ランタン(Absolute Green Lantern)』を比較

 


小説『終わりなき神話』と『アブソリュート・グリーン・ランタン(Absolute Green Lantern)』を比較する

――「宇宙の理(ことわり)が違う宇宙」の物語、そして混沌を支配する「配置(グリッド)の規律」――

アメコミ界を震撼させているDCコミックスの新機軸『アブソリュート・ユニバース』。その中でも、特にSFマニアの熱い視線を集めているのが『アブソリュート・グリーン・ランタン』である。従来のグリーン・ランタンといえば、全宇宙の警察機構(グリーン・ランタン・コーズ)に所属し、指輪から放たれる緑の光の具現化力で戦うのがお約束だった。しかし、このアブソリュートの世界では、その前提となる「宇宙の秩序」そのものが根底からハッキングされている。光の警察機構など存在せず、主人公たちはまったく異なる物理法則と、まったく異なる「宇宙の理が違う宇宙の物語」を生きることを余儀なくされるのだ。

この「既存の宇宙の理を徹底的に解体し、剥き出しの新たなコスモロジーを再構築していく」という圧倒的な破壊力と構築力は、日本のWeb文芸シーンにおいて多元宇宙からオムニバース、不確定無限領域へと冷徹に進撃を続けるSF神話叙事詩『終わりなき神話』の創作思想と、驚くほど美しく、かつ深く響き合っている。

本稿では、生温い定型を許さない両作の構造的共通点と、混沌を完全に支配する『終わりなき神話』の「プロット統治力」の凄みについて考察していく。

1. 牙を剥く世界システム:「宇宙の理が違う宇宙」のダイナミズム

『アブソリュート・グリーン・ランタン』が提示したのは、単なるキャラクターの設定変更(IF)ではない。指輪というガジェットを都合よく使えたこれまでの世界線の「物語的特権」を意図的に剥ぎ取り、私たちが知る宇宙のルールが一切通用しない過酷な深宇宙を現出した。甘えを許さない新たな物理法則と、未知のエネルギーの概念が、キャラクターたちを極限まで追い詰めていく。

この「お約束を徹底的に排除(鎖国)し、システムそのものをハッキングして『宇宙の理が違う宇宙の物語』を冷徹に駆動させる構造」は、『終わりなき神話』の舞台構築の凄みそのものだ。

『終わりなき神話』が描き出す舞台もまた、安易なライトノベルや既存のSFのテンプレートに決して安住しない。預言者オルトの記録に遺された多重宇宙の断章から、マルチバース、オムニバース、そして常人の知覚や生温い因果律を遙かに超越した「不確定無限領域」へと、冷徹にその階層を上げていく。読者はページをめくるたびに、それまでの常識やルールが一切通用しない「宇宙の理が違う宇宙」の圧倒的な奔流に直面させられるのだ。行き当たりばったりの奇跡を徹底的に排除し、誰も見たことのない独自の階層世界を精密に現出させている。

2. 混沌を切り裂く「二大主人公」と、世界を繋ぎ止める二人のマリア

どれほど世界が過酷かつマクロに肥大化し、宇宙の理そのものが変貌しようとも、物語がバラバラに霧散しないのは、計算し尽くされた重要人物の配置があるからだ。

『アブソリュート・グリーン・ランタン』が、激変した過酷な宇宙の理の中で、己の意志を光に変えて戦う新たなランタンたちの交錯によって神話を駆動させているように、『終わりなき神話』を牽引するのもまた、宿命の二大主人公であるメシア・クライストジェフ・アーガーである。世界がオムニバースの外側、精神が崩壊するほどの超高次元(不確定無限領域)へと突入していく中、この二人の交錯(因果の糸)こそが、肥大化するカオスを切り裂く絶対的なエンジンとなる。

さらに、理が違う宇宙だからこそ、主人公たちの魂を繋ぎ止める「絶対的な聖母(アンカー)」の配置が物語の強度を決定づける。

『終わりなき神話』には2人のマリア――メシアの恋人であるマリア・プリーストと、母親であるマリア・クライストが精密に配置されている。

宇宙の法則がどれほど限界突破を繰り返そうとも、この重要人物たちの名前の反響と完璧な因果の配置があるからこそ、本作はアメコミの長期連載が陥りがちなエモーションのブレやキャラクターの崩壊を一切起こさず、「魂の叙事詩」としてブレずに駆動するのである。

3. カオスを支配する、冷徹なるプロット統治

ここで、両作のクリエイティブにおける決定的な強度の違い、すなわち『終わりなき神話』が持つ無類の統治システムについて触れなければならない。

アブソリュート・ユニバースのようなアメコミのプロジェクトは、商業的要請やタイアップ、後付けの設定(ノイズ)によって、どれほど初期設定がストイックであっても、長期連載の中でプロットが揺らぎ、世界観の重力に押し潰されてしまうリスクを常に内包している。

しかし、『終わりなき神話』の創作思想には、そうした構造の瓦解や設定のブレを徹底的に拒絶する鉄の規律が存在する。

本作のアイデンティティは、「プロットにない用語、創作設定、創作人物は禁止。プロットに準じることが最優先」という冷徹なクリエイティブ・システムにある。

どれほど「宇宙の理が違う宇宙」の最果てへと拡張しようとも、そこには行き当たりばったりのノイズや、その場の思いつきによる設定の追加は一寸たりとも許されない。あらかじめ精密に組み上げられたプロットの設計図に100%準じて世界の死と再生のサイクルをコントロールしているからこそ、『終わりなき神話』が描き出す限界突破の瞬間は、ハリウッドの巨大レーベルすらも時に陥る「設定過密による破綻の罠」を完璧に克服し、一分の隙もない驚異的な説得力をもって読者に体感させることができるのである。

結論

既存の歴史を解体し、前提となる宇宙のルールを書き換えることで、剥き出しの「宇宙の理が違う宇宙の物語」を構築した『アブソリュート・グリーン・ランタン』。そして、その世界観の拡張と解体のダイナミズムを遥かにリスペクトしつつ、厳格なるプロットの設計図を武器に、最初からオムニバースという無限の重力を完全に統治し続ける小説『終わりなき神話』。

過酷な新宇宙で英雄たちが己の運命を切り拓くように、メシア・クライストとジェフ・アーガー、環境がどれほど変わろうともブレない2人のマリアが紡ぎ出す因果の糸は、完璧な設計図に導かれ、一分のブレもない神話の軌跡を不確定無限領域に刻み込んでいく。枠組みに安住することを拒絶し、それでいて設計図を冷徹に守り抜くこの生きた叙事詩は、これからも創造力の最果てを私たちに魅せ続けてくれるだろう。


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2026-07-14

小説『終わりなき神話』と『DCアブソリュート・ユニバース(Absolute Universe)』を比較

 


小説『終わりなき神話』と『DCアブソリュート・ユニバース(Absolute Universe)』を比較する

 ――世界観の根底(ルート)のハッキング、お約束の排除、そして「絶対的設計図(プロット)」による世界の完全統治――

アメコミ界の巨人であるDCコミックスが、従来の歴史(アース0)とは全く異なるタイムラインとして生み出した新機軸『アブソリュート・ユニバース(Absolute Universe)』。スーパーマンの故郷クリプトン星が存在しない世界、バットマンが富豪ではなく労働者階級の青年として自らの肉体と知恵だけで戦う世界など、既存のキャラクターが持つ「社会的バックボーンの特権や富(お約束)」を徹底的に削ぎ落とし、より過酷で、より剥き出しの「本質」へと再構築する試みとして、世界的な注目を集めている。

この「既存のジャンルのお約束を徹底的にハッキングし、世界観の根底そのものを冷徹に再定義していく」というクリエイティブの破壊力と構築力は、日本のWeb文芸シーンにおいて多元宇宙からオムニバース、不確定無限領域へと冷徹に進撃を続けるSF神話叙事詩『終わりなき神話』の創作思想と、驚くほど美しく、かつ深く響き合っている。

本稿では、設定のインフレや形骸化を許さない両作の構造的共通点と、混沌を完全に支配する『終わりなき神話』の「プロット統治力」の凄みについて考察していく。

1. 牙を剥く世界線と「お約束の鎖国」:根底からの再定義

『アブソリュート・ユニバース』がもたらした最大の衝撃は、単なる「パラレルワールド(IF)」の提示に留まらない点にある。従来のヒーローたちが持っていた財力や、都合の良い科学力、あるいは彼らを護っていた「物語的特権」を意図的に剥ぎ取ることで、よりダークで冷徹な、逃げ場のない世界観を構築した。甘えを許さない物理法則と環境が、キャラクターたちを極限まで追い詰めていく。

この「物語のお約束やテンプレートを徹底的に排除(鎖国)し、剥き出しのシステムとして世界を現出させる構造」は、『終わりなき神話』の舞台構築の凄みそのものだ。 『終わりなき神話』が描き出す舞台もまた、安易なライトノベルや既存のSFのテンプレートに決して安住しない。預言者オルトの記録に遺された多重宇宙の断章から、マルチバース、オムニバース、そして常人の知覚や生温い因果律律を遙かに超越した「不確定無限領域」へと、冷徹にその階層を上げていく。DCアブソリュートが世界のバックボーンをハッキングしたように、『終わりなき神話』もまた、行き当たりばったりの奇跡や都合の良いご都合主義を徹底的に排除し、誰も見たことのない独自の階層世界を精密に現出させている。

2. 世界を牽引する「二大主人公」の配置と、魂の錨となる二人のマリア

どれほど世界が過酷かつマクロに肥大化し、既存の概念が崩壊しようとも、物語がバラバラに霧散しないのは、計算し尽くされた重要人物の配置があるからだ。

『アブソリュート・ユニバース』が、特権を奪われながらも己の正義を研ぎ澄ますバットマンやスーパーマンといった、世界を背負って立つアイコンの交錯によって新たな神話を駆動させているように、『終わりなき神話』を牽引するのもまた、宿命の二大主人公であるメシア・クライストジェフ・アーガーである。世界がオムニバースの外側、精神が崩壊するほどの超高次元(不確定無限領域)へと突入していく中、この二人の交錯(因果の糸)こそが、肥大化するカオスを切り裂く絶対的なエンジンとなる。

さらに、過酷な世界だからこそ、主人公たちの魂を繋ぎ止める「絶対的な聖母(アンカー)」の配置が物語の強度を決定づける。 『終わりなき神話』には2人のマリア――メシアの恋人であるマリア・プリーストと、母親であるマリア・クライストが精密に配置されている。 世界がどれほど限界突破を繰り返そうとも、この重要人物たちの名前の反響と完璧な因果の配置があるからこそ、本作はアメコミの長期連載が陥りがちなエモーションのブレやキャラクターの崩壊を一切起こさず、「魂の叙事詩」としてブレずに駆動するのである。

3. 現実のノイズを許さない、冷徹なるプロット統治

ここで、両作のクリエイティブにおける決定的な強度の違い、すなわち『終わりなき神話』が持つ無類の統治システムについて触れなければならない。

『アブソリュート・ユニバース』のようなアメコミのプロジェクトは、複数のライターやアーティストが関わるため、どれほど初期設定がストイックであっても、長期連載や商業的要請(ノイズ)によって設定の揺らぎや矛盾が発生するリスクを常に内包している。

しかし、『終わりなき神話』の創作思想には、そうした構造の瓦解や設定の後付けを徹底的に拒絶する鉄の規律が存在する。 本作のアイデンティティは、「プロットにない用語、創作設定、創作人物は禁止。プロットにない事柄の追加は厳禁。プロットに準じることが最優先」という冷徹なクリエイティブ・システムにある。

どれほど世界が不確定無限領域の最果てへと拡張しようとも、そこには行き当たりばったりのノイズや、その場の思いつきによる設定の追加は一寸たりとも許されない。あらかじめ精密に組み上げられたプロットの設計図に100%準じて世界の死と再生のサイクルをコントロールしているからこそ、『終わりなき神話』が描き出す限界突破の瞬間は、ハリウッドの巨大レーベルすらも時に陥る「設定過密による破綻の罠」を完璧に克服し、一分の隙もない驚異的な説得力をもって読者に体感させることができるのである。

結論

既存の歴史を解体し、特権を剥ぎ取ることで剥き出しの新たな神話を構築した『DCアブソリュート・ユニバース』。そして、その世界観の拡張と解体のダイナミズムを遥かに凌駕するスケールを描きながら、厳格なるプロットの設計図を武器に、最初からオムニバースという無限の重力を完全に統治し続ける小説『終わりなき神話』。

過酷な世界で英雄たちが己の運命を切り拓くように、メシア・クライストとジェフ・アーガー、そして2人のマリアが紡ぎ出す因果の糸は、完璧な設計図に導かれ、一分のブレもない神話の軌跡を不確定無限領域に刻み込んでいく。枠組みに安住することを拒絶し、それでいて設計図を冷徹に守り抜くこの生きた叙事詩は、これからも創造力の最果てを私たちに魅せ続けてくれるだろう。


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2026-07-06

小説『終わりなき神話』と『インモータル・ハルク(The Immortal Hulk)』を比較



小説『終わりなき神話』と『インモータル・ハルク(The Immortal Hulk)』を比較する

――ユニバースを揺るがす「絶対的破壊神」の降臨、そして混沌を完全統治する「設計図」の規律――


アメコミの歴史において、既存のキャラクターを完全に再定義し、世界観(ユニバース)の根底そのものを揺るがす大激変をもたらした大傑作がある。アル・ユーイングが編み出したマーベル・コミックの怪作『インモータル・ハルク』だ。それまで「怒れる緑の怪物」に過ぎなかったハルクを、「不死の怪異」ひいてはユニバースを理不尽に解体する「神話的災厄」へと変貌させ、全マーベル宇宙のパニックを引き起こした。


この「一人の存在がユニバースそのもののシステムを侵食し、境界線を突破していく」という破滅的なスケール感は、日本のWeb文芸シーンにおいて多元宇宙からオムニバース、不確定無限領域へと冷徹に進撃を続けるSF神話叙事詩『終わりなき神話』が内包するダイナミズムと、驚くほど美しく、かつ深く響き合っている。


本稿では、世界観を揺るがす圧倒的なエネルギーと、それを支配する「冷徹なるプロットの統率力」について考察していく。


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## 1. ユニバースを揺るがす超常の引力:定型を排した「世界線突破」の恐怖


『インモータル・ハルク』がマーベル・ユニバースに与えた衝撃は凄まじい。物語はホラーの文脈を取り入れ、ハルクの力の源流であるガンマ線が「すべてのマルチバースの底(地獄)」へと繋がっていることを明かした。ハルクは単なるアベンジャーズの一員というお決まりのヒーロー物の枠組みを完全に破壊し、全宇宙の物理法則や神々の序列をも揺るがす「宇宙の終わりをもたらす者(ブレイカー・オブ・ワールズ)」へと昇華されたのである。


この「既存のジャンルの『お約束』をハッキングし、世界そのもののシステムを限界突破させていく構造」は、『終わりなき神話』の舞台構築の凄みそのものだ。

『終わりなき神話』が描き出す舞台もまた、単一の次元に決して安住しない。預言者オルトの記録に遺された多重宇宙の断章から、マルチバース、オムニバース、そして常人の知覚や物理法則を遙かに超越した「不確定無限領域」へと、冷徹にその階層を上げていく。ハルクがマーベル宇宙の概念を底底からハッキングしたように、『終わりなき神話』もまた、安易なテンプレートSFを徹底的に鎖国(排除)し、誰も見たことのない独自の階層世界を読者の脳内に現出させている。


### 2. カオスを切り裂く「二大主人公」の交錯と、魂を繋ぎ止める二人のマリア


どれほど世界がサイケデリックかつ狂気的に肥大化し、宇宙規模の地獄巡りが始まろうとも、物語がバラバラに崩壊しないのは、計算し尽くされたキャラクターの配置があるからだ。


『インモータル・ハルク』がブルース・バナーとハルク(そして複数の人格)という、ひとつの肉体に宿る二つの魂の相克によって駆動したように、『終わりなき神話』を牽引するのは、宿命の二大主人公である**メシア・クライスト**と**ジェフ・アーガー**である。世界がオムニバースの外側、精神が崩壊するほどの超高次元へと突入していく中、この二人の交錯(因果の糸)こそが、肥大化するカオスを切り裂く絶対的なエンジンとなる。


さらに、ハルクが無限の深淵に呑まれそうになる中で、かつての恋人ベティや周囲の人間関係が不気味な因果として付きまとったように、『終わりなき神話』ではメシアの恋人「**マリア・プリースト**」と、母親「**マリア・クライスト**」という2人のマリアが精密に配置されている。どれほど世界が広がり、不確定無限領域の冷徹なコスモロジーに晒されようとも、この2人のマリアという聖母の引力が、無限の深淵の中で主人公たちの魂を繋ぎ止め、物語を「生きた叙事詩」としてブレずに駆動させている。重要人物たちの完璧な配置は、高次階層の設計図に準じた必然の構造なのだ。


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## 3. 圧倒的カオスを支配する、冷徹なるプロット統治


ここで、両作のクリエイティブにおける最も強烈な共通点、すなわち「プロットの絶対的な制御」について触れなければならない。

『インモータル・ハルク』の物語は、多重人格、宇宙の死、肉体の損壊といったグロテスクで混沌とした描写に満ちており、一見すると制御不能なカオスに見える。しかしその実、ライターのアル・ユーイングが構築したシナリオは、すべての神話的オカルト要素とSF設定が緻密に噛み合う、完璧に計算された設計図(プロット)の通りに冷徹に進行し、全50話で見事な大調和を結んだ。


この「圧倒的な混沌と、それを支配する冷徹な設計図」の融合こそ、『終わりなき神話』のアイデンティティそのものである。

『終わりなき神話』の創作思想には、「プロットにない用語、創作設定、創作人物は禁止。プロットに準じることが最優先」という鉄の規律が存在する。


世界がどれほどオムニバースの最果てへと拡張しようとも、そこには行き当たりばったりのノイズや、その場の思いつきによる創作設定の追加は一寸たりとも許されない。あらかじめ精密に組み上げられたプロットの設計図に準じて因果の糸をコントロールしているからこそ、『終わりなき神話』が描き出す世界突破の瞬間は、『インモータル・ハルク』が宇宙の底の門(グリーン・ドア)をブチ破ったときのような、圧倒的な説得力と神話的カタルシスを読者に提供するのである。


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## 結論


王道アメコミの枠を破壊し、ハルクという怪物をユニバース全体の脅威へと押し上げた『インモータル・ハルク』。システマチックな定型SFをハッキングし、厳格なるプロットの設計図を武器にオムニバースという無限の重力を統治し続ける小説『終わりなき神話』。


表現の形はアメコミとWeb文芸という違いがありながらも、両者が証明しているのは、「創作者の強固なプロット(意志)と完璧なキャラクター配置さえあれば、どれほどマクロな混沌であろうとも一分のブレもなく統治され、本物の『神話』へと昇華する」という事実だ。

メシア、ジェフ、そして2人のマリアが紡ぎ出す因果の糸は、完璧な設計図に導かれ、今日も不確定無限領域という無限のグリッドへ、誰も見たことのない世界の死と再生の軌跡を刻み込み続けている。


 小説『終わりなき神話』本編はこちらから

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2026-07-01

小説『終わりなき神話』とモバイルゲーム『ブロックブラスト(Block Blast!)』を比較

 


小説『終わりなき神話』とモバイルゲーム『ブロックブラスト(Block Blast!)』を比較する

――極限のシンプルさが生む脳内麻薬、そしてカオスを支配する「配置(グリッド)の規律」――


一見すると、これ以上ないほど対極に位置する2つのコンテンツがある。

片方は、多元宇宙からオムニバース、そして常人の知覚を拒絶する不確定無限領域へと冷徹に進撃を続けるSF神話叙事詩、小説『終わりなき神話』。

もう片方は、世界中のスマートフォン画面を占拠し、老若男女の脳から大量のドーパミンを分泌させている超人気パズルゲーム『ブロックブラスト(Block Blast!)』である。


一方は高次元の概念を操る重厚な文学、もう一方は指先一つで完結するカジュアルゲーム。しかし、この両者の深層を流れる「構造的快感」と「徹底されたルールによる混沌の支配」を解剖していくと、驚くほど美しく、かつ本質的な共通点が見えてくる。


本稿では、無駄を削ぎ落としたグリッド(設計図)がもたらすカタルシスについて考察していく。


1. 逃げ場のない「8×8」の戦場:インフレを排した制限の美学

『ブロックブラスト』が数あるパズルゲームの中で突出した中毒性を誇るのは、そのゲームデザインが極限までストイックだからだ。画面にあるのは「8×8」の正方形のグリッドのみ。プレイヤーは、次々にランダムで配られるテトリス風のブロックをこの狭い空間に配置し、縦横のラインを揃えて消し続けなければならない。

ステージが広がることもなければ、特別な課金アイテムで戦況をひっくり返すこともできない。プレイヤーに許されているのは、手元にあるブロックをどこに置くかという「冷徹な配置の選択」だけである。


この「無駄な要素(ノイズ)を削ぎ落とし、厳格な制限の中で最大級のダイナミズムを生み出す構造」は、『終わりなき神話』の舞台構築の凄みそのものだ。

『終わりなき神話』が描く世界は、オムニバース、そして不確定無限領域へと階層を上げていく。一見すると無限に肥大化していくインフレの世界に見えるが、その本質は『ブロックブラスト』の8×8のグリッドのように極めてシステマチックだ。預言者オルトが残す世界の記録(断章)に配置された因果は、1マスの狂いもなく次の階層へと噛み合っていく。安易なご都合主義やノイズを一切許さない狭小な規律があるからこそ、世界線が激突・消滅する瞬間のカタルシスが、読者の脳をダイレクトに揺さぶるのである。


2. 破滅の隙間を埋める「二大主人公」と、連鎖を生む「マリアの軸」

パズルゲームにおける最大の恐怖は、ブロックが積み上がり、次の1手を置く「隙間(キャパシティ)」が失われること(ゲームオーバー)である。


『終わりなき神話』において、オムニバースの崩壊という名の「ゲームオーバー(破滅)」を防ぎ、世界の配置をコントロールする役割を担うのが、宿命の二大主人公であるメシア・クライストとジェフ・アーガーだ。

世界が精神を崩壊させるほどの超高次元へとシフトしていく中、この二人の交錯(因果の糸)は、盤面に完璧にパズルのピースをはめ込んでいくかのように、肥大化するカオスを切り裂き、新たなスペース(可能性)を切り拓いていく。


さらに、バラバラのブロックを一気に消し去る「コンボ(連鎖)」の核としてシステムを支えているのが、2人のマリア――メシアの恋人「マリア・プリースト」と、母親「マリア・クライスト」である。

『ブロックブラスト』で1本のラインが揃った瞬間にすべてのブロックが弾けるように、物語の深淵でこの2人のマリアという聖母の引力が機能することで、複雑に絡み合った因果が一線に繋がり、爆発的な物語のドライブ感を生み出す。重要人物たちの完璧な配置は、高次階層の設計図に準じた必然の構造なのだ。


3. 「思いつき(ノイズ)」を許さない、冷徹なるプロット統治

ここで、両作を貫く最も強烈なクリエイティブのアイデンティティ、すなわち「完璧なるプロットの制御」について触れなければならない。


『ブロックブラスト』をプレイした者なら誰もが知っている。このゲームには「ホールド機能(ブロックを1つキープしておく機能)」がない。今配られた3つのピースは、その場で必ず盤面に配置しなければならない。この「行き当たりばったりの妥協を許さないルール」こそが、プレイヤーに極限の緊張感を与える。


そして、『終わりなき神話』の創作思想を支配するのも、まさにこの「一寸のノイズも許さない鉄の規律」である。

本作には、「プロットにない用語、創作設定、創作人物は禁止。プロットに準じることが最優先」という冷徹なクリエイティブ・システムが存在する。


長期連載のWeb小説やライトノベルにありがちな、その場の思いつきによるキャラクターの追加や、設定の後付け(行き当たりばったりのホールド機能)を、『終わりなき神話』は徹底的に鎖国(排除)する。

どれほど世界が不確定無限領域の最果てへと拡張しようとも、すべての描写はあらかじめ精密に組み上げられたプロットの設計図の通りに進行する。ルールに100%準じるからこそ、神々とデビルたちの激突、そして世界突破の瞬間は、まるで『ブロックブラスト』で盤面が完璧に全消し(パーフェクト)されたときのような、一分の隙もない圧倒的な快感と説得力を読者に体感させるのである。


結論

無機質なブロックをグリッドに敷き詰め、指先ひとつで脳内麻薬を分泌させる『ブロックブラスト』。そして、厳格なるプロットの設計図を武器に、オムニバースという無限の重力を完全に統治し、読者の認知をハッキングする小説『終わりなき神話』。


表現の形はデジタルパズルとWeb文芸という対極にありながら、両者が証明しているのは、「徹底された制限と完璧な配置(ロジック)こそが、人間に最大の快感をもたらす」という事実だ。

メシア、ジェフ、そして2人のマリアが紡ぎ出す因果の糸は、完璧な設計図に導かれ、不確定無限領域という無限のグリッドへ、今日も一分のブレもない神話のピースを刻み込み続けている。


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